2009年8月12日水曜日

住まいは夏を旨とすべし

『家の作りやうは 夏をむねとすべし
 冬はいかなる所にも住まる
 暑き比 わろき住居は堪へがたき事なり』


吉田兼好の時代も、夏のほうが重視?
京都は、夏は死にそうに暑いけど、冬も凍えるほど寒いじゃん(笑)

以前は、寒いほうが辛いよぉーと思ってたけど、
この頃、とみに暑さに耐え難くなってきました。
年齢のせいか?
温暖化のせいか?

きょう、お友だちのおうちに行って、実感した事。
玄関に入ったとたん、ひんやりと涼しいの。
彼女のうちは、まだこの夏一度しかエアコンを使ってないらしい。
だけど、これなら、扇風機で充分過ごせそう…。
我が家を思い起こすと、とてもうらやましかったです。

高気密高断熱の、工業製品のような家ばかりになっています。
日本の気候は、鎌倉時代からさして変わっちゃいないのに…。
“なにか”に踊らされてる気がします。

徒然草五十五段の続き↓
『深き水は涼しげなし 
 淺くて流れたる 遙に涼し
 こまかなる物を見るに 遣戸は蔀のまよりもあかし
 天井の高きは 冬寒く 燈暗し
 造作は 用なき所を作りたる 見るも面白く 萬の用にも立ちてよしとぞ
 人の定めあひ侍りし』


田舎のおばあちゃんちのイメージで、木造の古い建物を想像してください。
床が高く上がっていて、広い縁側と深い軒や庇のある家。
雨が上がってくるのをよけて、湿気がこないようにして、
日陰を作って、風を通す造りになってます。

明るい家がいいと思って、自分ちを建てたのですが、
この家、ひさしがないので、寒暖の差が激しくて、住み難い。
夏と冬の太陽の上がる角度の差を、計算された庇の出で造れば、
夏の日光は遮られても、
冬の柔らかい光は、部屋の中まで入ってくるように出来るはずなのに、
そういう気づかいしてくれる会社じゃなかった…って事ですな。

あまり聞いた事のない語句をカンタンに解説しますと、
“遣戸(やりど)”というのは、引き違い戸のようなもので、
 昭和の家の、木の雨戸をイメージしてもらえればOKです。

“蔀(しとみ)”は、“蔀戸(しとみど)”のことかな?
 上が吊り元で、下側を上に跳ね上げるような開き方をするもの。
 跳ね上げ窓みたいな感じです。

スゴイなぁー、こういう事も覚えてコーディネータの試験受けたのねぇ。
でも知ってても、なぁ~んの役にも立ちゃしませんが…(^◇^;)