2019年11月25日月曜日

漢方小説

このあいだツムラの手帳をくれた人がもってた漢方講座のレジュメに、この本が載ってた。

話をされた先生が、この本のモデルになってたんだって。
「出てきた先生とは違いますけどね…」とおっしゃってたけど、興味あって読んでみた(笑)

顔のシワに経験が刻まれたようなおじいちゃん先生を想像してたら、「なんでその若さで現代医療に背を向けて漢方なんですか?」っておもわず言いたくなるほど若い先生。ぷぷぷっ…w

漢方の話をちゃんと間違いなく伝わるように書くと、やたら状況や状態を説明する文になる。
問診とか、舌診とか、脈とか、お腹さわるとかそういう診察とか、陰陽五行説とか気血水とか。そういうのをダラダラ書かれてると、読んでるこっちはちっともおもしろくない。

根本を知らない人に説明しようと思うとしょうがないんだろうけど…さぁ。

たとえば、胃が痛くて病院にかかったとする。
日本の保険のきく病院だと、セルベックスやガスターみたいな胃薬を出す。
それが漢方の切り口だと、痛みがどこからきてるか、もともと体質的に胃弱なのか、ストレスからなのか、冷えからなのか(そう…冷えは万病の元!なの)、そこから考えるから、出されるクスリがぜんぜん違ってくる。

あ…話がそれた。

漢方小説』は、ふつうの小説に漢方のお医者さんや知りたい漢方の知識がとけこんだ…っていう雰囲気。
自分の具合の悪さは、胃炎とか、頭痛とか、不眠とか、鬱とか、そういう西洋医学の病名ではなくて、「自分だけの病気」なのだそう。その言葉で、完全に治さなきゃ…でなくて、調子が悪い状態となんとなくゆっくり一緒に歩いていけばいいんだなぁって思った。病気も自分の一部だから…っていうのも納得。うまこと共存してけばいいよね。

30代前半の主人公の人と同じ症状じゃないけど、こうやって胃がひっくり返ったようになったり眠れなかったり…を、こうやって治していくんだなぁっていう処方も書いてあって、2004年にすばる文学賞受賞したのがうなずけるようなテンポのいい小説だったよ。
よかったら読んでみてね📖

この本の【参考文献】
『漢方基礎理論』たにぐち書店
『健康保険が使える漢方薬 処方と使い方』新星出版社
『最新 漢方実用全集 漢方薬の正しい用い方と漢方療法のすべて』池田書店
『詳解・中医基礎理論』東洋学術出版社
『三千年の知恵 中医学のひみつ なぜ効き、治るのか』講談社ブルーバックス
『東洋医学を知っていますか』 新潮選書