2021年2月21日日曜日

人参養栄湯と十全大補湯

2月9日に書いた”補剤”。

カラダがだるくて、食欲が落ちたり胃腸が弱かったら、まず『補中益気湯』を処方。
『補中益気湯』を飲んで不眠傾向があらわれたり、肌荒れなどの血虚症状や咳があれば『人参養栄湯』。
胃腸に不調が少なければ『十全大補湯』。 
肌荒れや爪が割れたり手足の冷えなど血虚がなくて、寝てて目が覚めたり夢をたくさん見たり、不安感があれば『帰脾湯』で、ほてりや精神的緊張があれば『加味帰脾湯』。

…と、全身倦怠の漢方薬の使い分けについて習った。

でも、まだ全然わかんない💦
だって、『人参養栄湯』と『十全大補湯』の効能効果がいっしょなんだもん。
ほら、ツムラのパッケージの色もいっしょ🤣

でも、同じ効果はあっても、別の薬としてずっと存在してるならなにかちがいがあるはず…よね?

『人参養栄湯』に入っているのは、
人参当帰芍薬地黄白朮茯苓甘草、経皮、黄耆、陳皮遠志五味子
『十全大補湯』に入っているのは、
人参当帰芍薬地黄川芎蒼朮茯苓甘草、経皮、黄耆。

『十全大補湯』は、『四物湯(当帰、芍薬、地黄、川芎)』と『四君子湯(白朮or蒼朮、茯苓、甘草、人参、生姜、大棗)』に、経皮と黄耆をくわえたもの。
『人参養栄湯』は、『十全大補湯』から川芎をのぞいて、陳皮と遠志と五味子を加えたもの。

…ということは、この差が使い分けになるわけね。

四物湯は、どれも気血を補う薬能がある。
『十全大補湯』には、人参養栄湯より温めて血行促進する経皮と、気を補い汗を止める黄耆が多く入っていて、よりいっそう気と血を補ってくれる薬になってる。

『人参養栄湯』に入ってる生薬の薬能は、
陳皮…脾を補い、気の流れを良くする
遠志…精神を安定させて、認知機能を強くする
五味子…咳や汗を止める
で、川芎が入っていないから、瘀血改善作用は十全大補湯より弱い。

中にはいっている茯苓と白朮の量を考えると、『人参養栄湯』のほうが脾と補って気を作る作用がすこし強い。
茯苓と白朮がふえ陳皮も入っているから、水毒にもきいて、痰を取る作用も強い。

『十全大補湯』は、気血両虚にむく。
『人参養栄湯』は、『十全大補湯』のバリエーションのひとつで、慢性的に長い年月で積み重なった冷えから出てくる症状にむいているのだそう。

ほぉ〜、だからうちの夫なのか(笑)
中身を調べて、ちがいがわかった!!